会長挨拶

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令和5年1月1日

2023年頭のご挨拶

会 長 安田 豊

新年あけましておめでとうございます。
        
会員各社の皆様並びに関係各位におかれましては健やかに新年を迎えられたこととお慶び申し上げます。2023新春を迎えるにあたり念頭のご挨拶を申し上げます。

昨年を顧みますと、コロナ禍による世界経済への影響が解消に向かう一方で、ロシアのウクライナ侵攻という世界情勢を激変させる大事件が起こり、また米国における大幅利上げ、中国のゼロコロナ政策といった海外の動きに日本は大きく振り回されました。これまでの前提が通用しない、まさに激動の年となりました。
ウクライナへ侵攻したロシアへの西側諸国による制裁と、それに対するロシアの報復措置が、サプライチェーンの分断やエネルギー危機を呼び、それまでのコロナ禍における供給制約や各国金融緩和で高まりつつあったインフレ圧力を更に加速させることになりました。米国・欧州等の各国中央銀行ではインフレ抑制のために大幅利上げによる金融引締めを余儀なくされ、また中国では例外的にコロナ感染拡大を受けゼロコロナ政策に固執したことにより、中国国内だけではなくサプライチェーンの混乱を通じアジア新興国など中国と連動性の高い国々における生産活動にも悪影響が伝播する事態となりました。

国内では、年初から首都圏を中心に取られていたまん延防止等重点措置が3月までに全面解除、また10月には入国管理の水際措置が大幅に緩和されたことにより、国内及び外国との人の往来が再び活発化に向かいました。一方、ウクライナ情勢に端を発する原料・エネルギー・穀物価格の高騰とインフレに直面した状況下においても、日銀は持続的、安定的な物価の上昇には至っていないとして金融緩和を継続し、年初1ドル=115円台であった円相場は急激な円安が進み、10月20日には32年ぶりとなる1ドル=150円の大台に到達しました。その後は米国のインフレ減速観測で利上げペースも縮小する中、12月20日には日銀の金融政策決定会合において実質的な金融引締めとなる長期金利変動幅拡大の発表を受けて1ドル=130円台の円高へ調整に転じ状況が目まぐるしく変化する展開となりました。
非鉄金属・貴金属価格においては、特にニッケルとパラジウムはウクライナ情勢の緊迫化を受けてロシアからの供給不安が高まり、3月7日にはそれぞれ過去最高値を更新しました。その後は利上げや景気後退懸念から勢いを失いましたが、地政学リスクとの関係が強く意識された値動きとなりました。
このように昨年はウクライナ戦争やインフレとの戦いなど、暗いニュースの多かった印象の一年ではありますが、スポーツにおける「戦い」では、北京冬季五輪で日本選手団が過去最多のメダルを獲得し、また中東カタールで開催されたサッカーワールドカップにおいては日本が前評判を覆して強豪国のドイツ、スペインを撃破するなどの素晴らしい活躍により日本だけでなく世界中を魅了し、激動の社会の中で明るい話題を提供してくれました。

さて、今年は卯年で相場格言では「卯は跳ねる」とも言われ、ウサギには跳ねる特徴があるため景気が上向きに跳ねる、回復すると言われております。また今年は干支では「癸卯(みずのとう)」にあたり「癸(みずのと)」には「物事の終わりと新たな循環の始まりに備えた状態」を意味しているということです。過去3年に亘り続いているコロナ禍とともにウクライナ情勢やインフレも終息に向かうことによって、新たなステージにおける知恵や考え方が生まれてくることを期待したいところです。
産業界では、昨年岸田内閣が、2050年までのカーボン・ニュートラルの国際公約と産業競争力の強化・経済成長とを共に達成していくための「成長志向型カーボンプライシング構想」を発表し、今後10年間で150兆円超の官民GX(グリーン・トランスフォーメーション)投資を実現、実行することとしています。このうち20兆円を政府が発行する「GX経済移行債」(仮称)で調達し、国内資源循環を含めた人的・物的投資拡大に繋がる事業への投資の呼び水とする方針で、同移行債の返済財源として、企業間でCO2排出量を取引する排出量取引や、CO2排出量に応じて課す炭素税や賦課金などの「カーボンプライシング」を活用し、CO2を排出するほどコストがかかるようにすることによって事業者にその削減を促す仕組が検討されています。
あらゆる業界において、このような投資や技術革新が活発化することが「脱炭素」と「経済成長」の両輪を回す大きな力となると期待されます。具体的には再生可能エネルギーの普及や非化石エネルギー開発の推進、自動車の電動化・自動運転化への動きが今までにも増して加速し、関連する技術に用いられるレアメタルへの注目度も高まると予想されます。また、各企業はESG経営を実践し、事業を通じて社会的課題の解決に貢献することで、地域社会の発展と国際目標「持続可能な開発目標(SDGs)」の達成に取り組むことが求められます。幸いなことに、当協会の会員各社はいずれも事業の一環として「レアメタル」「リサイクル」「循環型社会」に深く関わっておられますので、各社の役割の重要性や期待度は従前にも増して高まるものと確信しております。
当協会では、会員各社の事業への取組みのお役に立てるよう専心努力して参る所存ですので、是非とも関係ご当局並びに会員各社の皆様方には、当協会の活動に一層のご指導・ご支援を賜りますよう改めてお願い申し上げます。
最後になりましたが、会員各社のますますのご発展と、関係各位ならびにご家族のご多幸、ご健勝を祈念致しまして、新年のご挨拶とさせて頂きます。

JX金属㈱ 常務執行役員 金属・リサイクル事業部長

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