会長挨拶

 

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令和6年1月1日

2024年頭のご挨拶

会 長 安田 豊

新年あけましておめでとうございます。
会員各社の皆様並びに関係各位におかれましては、健やかに新年をお迎えになられたこととお慶び申し上げます。2024新春を迎えるにあたり念頭のご挨拶を申し上げます。

昨年を顧みますと、国内では新型コロナの社会的影響が緩和され、経済活動の正常化が進み、街には賑わいが戻り、観光地もインバウンド観光客であふれるようになった一方で、物価高騰が市民生活を直撃した一年でした。またコロナ禍後の世界的なインフレが加速するとともに米国の金融引き締めが進行しましたが、年末にピークアウトの兆候が表れ、米国の株式、為替市場が大きく動いた一年となりました。
企業活動については、コロナ禍で寸断・停滞していたサプライチェーンが正常化したことで自動車産業を中心に生産が回復し、また半導体の分野でもサプライチェーンの強化に向けた国内での工場建設計画が相次ぐなど、将来を見据えた動きが進んでいます。日経平均株価も11月20日にバブル期以来33年ぶりの高値である3万3853円をつけるなど、「失われた30年」の停滞からの脱却に向けた明るい兆しも見えてまいりました。一方で海外からの原料・エネルギー価格の上昇や円安、人手不足による人件費増などを受けて、食品・日用品の幅広い品目で値上げが相次ぎました。
スポーツでは、野球日本代表が3大会14年ぶりにワールド・ベースボール・クラシックで優勝、MLBの大谷翔平選手が満票でMVPを獲得するなどの素晴らしい活躍により、激動の社会の中で明るい話題を提供してくれました。
海外に目を向けますと、急激な利上げの反動で景気後退が懸念されていた米国経済は想定以上の粘り腰を見せ、12月19日にはNYダウ平均株価が過去最高値となる3万7557.92ドルをつけました。堅調な米国経済によりドル金利が高止まりする一方で、日銀は利上げに慎重な姿勢を続けた結果、年初より内外金利差を背景に、11月には一時33年ぶりとなる1ドル=152円が目前に迫る水準まで円安が進みました。その後日米の金融政策の修正観測から一時1ドル=140円台の円高へ調整に転じるなど、状況が目まぐるしく変化する展開となりました。
このような経済状況の中で、世界の戦乱は終息の兆しがみえず、ロシアとウクライナの戦闘は長期化し、秋にはパレスチナ自治区ガザ地区でイスラエルとハマスの軍事衝突が勃発、人道危機が深刻化し、地政学リスクはかつてないほど高まっております。米中覇権争いを背景としたデカップリングに加え、ロシア・ウクライナ紛争に端を発したロシア産エネルギー・鉱物資源からの脱却など、従来の自由貿易の前提を覆す地政学イベントが当たり前のように起こるようになり、国や企業には、経済合理性のみならず経済安全保障を考慮した戦略が求められています。
非鉄金属・貴金属価格においても、特に金は10月のハマスによるイスラエル攻撃後に安全需要からの買いが相次ぎ、NY金価格は12月4日に一時トロイオンス当たり2,152.3ドルをつけ、過去最高値を更新しました。金利高止まりや株高の中にあっても金の価格が高騰するという、これまでの常識では説明のできない、世界の分断をうかがわせる値動きとなりました。

さて、今年は辰年で相場格言では「辰巳天井」ともいわれ、相場がピークを迎える年ともいわれますが、「辰」は「振(ふるう、ととのう)」に通じ、陽気が動いて万物が振動し、草木もよく成長して形がととのった状態を表すと解釈されます。また今年は干支では「甲辰(きのえたつ)」にあたり「甲」には植物の循環では「硬い殻に覆われた草木の種子が成長の時を待つ状態」」を意味しているということです。総じて「甲辰」は、新たな出発や成長、活力に満ちた時期を意味すると捉えられ、従来の考え方にとらわれず、新しい発想を以って殻を破り、成長をする「昇竜」の年としたいところです。
日本をはじめ世界各国が約束する「2050年までのカーボン・ニュートラル」という目標の実現には多くの投資や技術開発が必要となりますが、各国では産業や社会の脱炭素化を経済成長のドライバーと捉え、技術開発や関連産業の育成に戦略的に取り組む動きが進んでいます。日本においても、政府は今年2月に「GX(グリーン・トランスフォーメーション)経済移行債」を初めて導入し、今後10年で20兆円の資金調達を見込み、これを、国内資源循環を含めた人的・物的投資拡大に繋がる事業への呼び水として、官民合わせて10年間で150兆円のGX関連投資を促していく方針とされています。このような投資や技術革新の活発化が「脱炭素」と「経済成長」の両輪を回す大きな力となると期待されます。具体的には再生可能エネルギーの普及や非化石エネルギー開発の推進、自動車の電動化・自動運転化への動きがさらに加速することが予想されます。
一方で、これら脱炭素化関連技術に用いられるレアメタルは産出する量も地域も限定的であることが多く、世界的に争奪戦の様相を呈し、そのリサイクルの重要性が増大しています。当協会の会員各社はいずれも事業の一環として「レアメタル」「リサイクル」「循環型社会」に深く関わっておられますので、各社の役割の重要性や期待度は従前にも増して高まるものと確信しております。
当協会では、会員各社の事業への取組みのお役に立てるよう専心努力して参る所存ですので、是非とも関係ご当局並びに会員各社の皆様方には、当協会の活動に一層のご指導・ご支援を賜りますよう改めてお願い申し上げます。
最後になりましたが、会員各社のますますのご発展と、関係各位ならびにご家族のご多幸、ご健勝を祈念致しまして、新年のご挨拶とさせて頂きます。

JX金属㈱ 常務執行役員 金属・リサイクル事業部長

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